無意識

意識 0 小林拓弥(合気道家)

人間は何かをするときにどうしても「これをやろう」と意識をしてしまいます。

その意識は、相手に懸る際に「起こり」として現れて相手に読まれてしまいます。それでは懸の先を取ることはできません。

身構えた相手を倒すのは至難の業であり、力や反射速度の勝負になってしまいます。相手の力量が分かっていて勝てると確信できるならいいですが、勝つか負けるか分からない戦いは博打であり避けるべきです。

先を取るのは非常に重要なことですが、どのようにして懸の先を取るかというと、起こりを出さないように攻撃を繰り出すのが一つの手だと思います。口先だけなら簡単ですがやるのは難しい。自分はまだその領域に居ません。

起こりを消すために必要なスキルは無意識を制御できるようになることだと思います。

虫が目に入りそうになれば目を瞑る。不意に転べば手を着く。そのイメージで攻撃を繰り出すのが理想です。

何気なく剣の素振りをしていると、最初は何かしら考えを巡らせているものです。「今の振りはどうなのかな」「もっとこうした方がいいかな」「疲れたな」など。

無心に数百回も振っているとようやく、心の雑念が消えて行き、剣を振るだけの造化器官になります。

この時が一番強い剣の振りができているのだと思っています。

畑に杭を立てる際に、その素振りの時のように無心で打つと意識して打つより1発1発が地中に深く入っていきます。

立合いでも同じように、無意識に空を切るように切り懸ると先を取りながら一刀両断できるものだと思っています。「空なる心より先を仕掛けて勝つ

技が無意識に発動するレベルまでに自分の中に落とし込み、無意識の精度を上げるためには基本の稽古が重要になります。