半身と重心移動と膝抜き

身体 0 小林拓弥(合気道家)

半身の立ち方

合気道において重要な要素の一つとして半身があります。流派によって色々な立ち方がありますが、何を重視するかによってその辺は変化するもので、そこに正誤はありません。

我々の半身の立ち方を紹介します。

片方の足を前に出し、左右の足が一直線上に前後に並ぶように立ちます。この時、前後の足の幅は肩幅+α程度。前足の膝は多少曲げてゆとりを持たせます。体はひねらず、前足と同じ方の肩と腰を気持ち前に出し、上半身、下半身ともに半身になるように立ちます。右足前なら右半身、左足前なら左半身です。

技の中で腰を回したり、動きの中で次の動作を準備するために腰を回したりする場合は、次のような半身になることもあります。

前後の足が一直線に並ぶと言いましたが、それは稽古時の話です。自由技などで前後移動が必要になる場合は足一個分ほどずらしています。こうすることで骨盤の前傾後傾が使えて都合がいいのです。半身でもこれくらいは許容されていいものだと思っています。

しかし、初心者に最初からこれを教えてしまうと技がめちゃくちゃになってしまうので、半身は一直線上としか教えません。

合気道のどんな技も足さばきは常に半身です。半身を体にしみこませることによって、技のフットワークに迷いがなくなるはずです。

重心移動と膝抜きで移動する

相手の間合いに踏み込む・相手の攻撃を交わす際などのフットワークは重心移動によってきっかけを作ります。重心移動をきっかけにするということは地面を蹴らないということです。蹴り足は溜めをいったん作る必要があるため、動きがワンテンポ遅れ、相手に初動を悟られてしまいます。

素早く悟られにくいステップを行うためには重心移動と膝抜きを使います。
具体的には、前に移動する際は前重心になって前足に体重を乗せます。その状態で前足の膝を抜くことで体が前に倒れようとします。その力を推進力にするのです。

また、前後の重心移動は上半身の傾けで行うのではなく、臍下丹田で行います。下っ腹にサッカーボールが入っているイメージで、そのボールを前や後ろに転がすイメージです。具体的には骨盤を前傾・後傾させているわけですね。骨盤を前傾させると前重心、後傾させると後ろ重心になります。それに膝抜きを加えて移動します。

自分を崩すという事

普通に立って両手を前に伸ばしてください。おそらく体育の「前習え」の状態になると思います。前に重心が来ているのにも関わらず、前に倒れないのはなぜでしょう。
それは人は無意識のうちに倒れないようにカウンターバランスを取っているためです。人は倒れたくないのが本性です。

その無意識に発動するカウンターバランスを意図的に無効化することによって、ニュートラルな状態で身体操作が可能になるものと思います。

カウンターバランスを無効化するには次のような練習が必要です。練習と言っても難しいものではなく、手を前や横に出してその方向に体を自然と倒すだけです。自然と倒れるのが重要なので、意図して倒そうとしないようにして練習しましょう。

重心移動には上下もある

重心移動は前後左右だけでなく、上下移動もあります。
構えの時の重心は高くしておき、攻撃の瞬間に抜き足で重心を低くしてその落下を剣や拳によって相手に伝えることによって強い力を与えることができます。