自分が考える護身術とは

未分類 0 小林拓弥(合気道家)

護身術というと「もし刃物を突き付けられたら」だとか「もし襟をつかまれたら」等というデモンストレーションが思い浮かびますが、自分が考えている対人護身術とはそのような小手先だけのものではないと思っています。

「刃物を突き付けられたが技を決めることができて犯人を私人逮捕できた」これは言い方を変えると、「武器を持っている相手を見抜けず、武器を抜く初動も見逃した結果、体の近くに刃物が来ていた」ということです。仮に取り押さえることができたとしても、相手に殺意があったり、手練れであったら違う結果になるでしょう。

「もし襟をつかまれたら」も同様に、襟をつかまれるような状況になったことを反省すべきでしょう。その前の段階で何らかのサインがあったはずです。

脅威にさらされる前に可能な限り察知して対応できるようになることが対人護身術の目標です。

対人護身術の3つの段階

対人護身術には大きく分けて3つの段階があると思っています。

1.リスクマネジメント

脅威対象をいち早く見抜いて回避や通報など何らかの対処を取れるように周りに気を配る。戦う前に徹底すべきことがリスク回避のための努力です。

また、夜道を一人で歩かない、派手なものや特徴的な服装を避ける、ひと気のない場所を避けて大通りの群衆に紛れる、恨みを買わない、喧嘩を売らない買わないなど、標的にされない努力をすることが大切です。

車での帰宅中も気を配る必要があります。幹線道路でもないのに後ろにずっと同じ車がいる場合は注意します。尾行かどうかを簡単に確認するには左折か右折を2回します。 尾行を振り切るにはハザードを出して先に行かせるか、車通りの多い道からの右折が効果的です。

同じ道で帰らないとか、ルーティーンを作らない(常に日課の時間を10,20分ずらす)というのもリスク回避のために有効だと思います。

普段の日常をよく観察し、その日常と異なる現象が現れたらそれを怪しむという感性も大切です。例えば、普段見ない人が歩いているだとか、普段見ない車が居るとか。野生動物は非日常を察知する能力が非常に高いのですが、人間はその辺がおろそかになりがちです。人間も元々は野生だったので持ち合わせていた能力だと思うので、訓練で引き出せるものだと思います。

2.コンタクト

リスクマネジメントを徹底しても万が一ということがあります。気配を感じず不意を突かれてしまった。相手に絡まれた状況です。

この段階ではコミュニケーションによって状況の改善を図りながら、相手が何人か何を持っているか何が目的かを把握します。相手が金銭を要求しているのであれば、おとなしく渡して解放されるという手もあります。

3.エンゲージ

状況は改善されないどころか命の危険が増してきた。逃げ場はない。助けも無い。そのようなときに初めて実力を行使します。

曲芸のような技をたくさん知っていたとしてもそれが機能しなければ意味がありません。基本的に我々が行っている稽古は型稽古なので、実戦でそれが通用するとは限りません。なので、型を忠実に覚え、型にある意味を理解し、イザという時には型を崩して戦えるような心持ちで技を習得していかなくてはなりません。

また、制圧の際には相手に不必要なケガをさせてはいけません。逮捕行為の際のケガはある程度許容されるものとされていますが、あまりにもケガがひどい場合は不必要な暴力行為と判断されかねません。相手が犯人といえど傷害を疑われる可能性があります。あくまで技は防衛をメインとして、反撃や制圧は最終手段にとどめます。走って逃げられたらそれが一番良いです。

何事にもリスクがある

護身術とは狭義では人対人の戦闘術ですが、自分にとっての「護身術」とは様々なリスクに対処して自分の身を守るための術だと思っています。そのため、この記事では「対人護身術」という言葉を使いました。

生きている限り何事にも少なからずリスクが存在し、人は常にリスクと折り合いをつけて生活をしています。普段から危機意識を持ち、ありとあらゆることを想定し、最善の策を取りながら生活していく。危きに近寄らず、恨みも喧嘩も買わず、思い上がらず、人にはリスペクトの心を持って接する。以上が自分の考える護身術になります。